新交通システム(AGT)

 

1)新交通システムとは

新交通システムとは、旧建設省と旧運輸省の協定で定められた「案内軌条式公共交通システム」を指し、一般的には中量規模の輸送を担うゴムタイヤ駆動の軌道システム全般を指します。

案内軌条式には、中央部に案内軌条(ガイドレール)があるタイプ(桃花台新交通ピーチライナー、ボナなどで採用)と側面に案内軌条があるタイプ(ポートライナー、ゆりかもめ、金沢シーサイドラインなど)があり、規格化されたシステムとなっています。

ゆりかもめ ポートライナー ピーチライナー

 

2)新交通システムのメリット

新交通システムには大きなメリットはありません。これは、新交通システムの輸送力からして他の交通機関との相対的な優位性が無いからです。勾配や急曲線ではモノレールがありますし、安価という点ではLRTなどと大差はありません。

しかし、メリットとして、

・発展が可能なシステム(GWBとの融合、暫定利用など)

・全自動運行

・軽量なことによる構造物の簡素化(トンネル断面が小さい、桁が小さいなど)

があります。

ゆりかもめやポートライナー、あるいはニュートラム、六甲ライナーのように大規模橋梁があるような場合や海岸部を走行する場合、あるいは丘陵地などのアップダウンが激しいところで平面路線を検討する場合には、適合性が極めて高いものです。

LRTやモノレールの場合、軌道そのものの自重と鉄道としての荷重の考え方になるため橋の設計にマイナス要因を与えます。特に鉄軌道システムであるLRTの場合には車体重量の問題もありこのような区間では新交通システムは優位です。

大規模橋梁がある場合などには圧倒的に高い優位性を持つ(左:ポートライナー 右:六甲ライナー)

また、ガイドウェイバスとの融合なども可能で、発展性があるシステムであると言えます。

 

3)具体例

ポートライナー

(神戸市)

神戸市街の沖合にうかぶ埋め立て地、ポートアイランドと神戸の市街地を結ぶ新交通システムです。

一部ループなどのルート取りに特徴がありますが、機能としては極めて単純であり、使いやすい交通機関となっています。運賃面の課題がありますが新交通システムとしては成功例でしょう。

神戸空港への延伸による機能強化など新たな展開も期待されています。

六甲ライナー

(神戸市)

神戸市東部の沖合埋め立て地の六甲アイランドと阪神魚崎、JR住吉の両駅を結ぶ新交通システムです。

六甲アイランドは埋め立て地の宅地開発としてはコミュニティの創出などを含め成功しており、この六甲ライナーもアクセス交通として利用されています。

バスに押され気味ではありますが、埋め立て地の主要な交通手段として広く利用されています。

ピーチライナー

(愛知県小牧市)

名古屋市近郊の丘陵地に広がるニュータウン地区である桃花台へのアクセス鉄道として整備された新交通システムです。

接続する鉄道が都心アクセスとして弱いことや高速バス・アクセスバスの拡充により利用者が低迷しています。

ゆりかもめ

(東京都)

東京都心と東京湾の埋め立て地である臨海副都心地区を結ぶ新交通システムです。

台場地区の観光・商業地としての人気もあり慢性的な混雑をするほどの路線で、新交通の中では最も成功した例と言えます。

レインボーブリッジを渡るなどそれそのものが観光資源となっている路線として知られています。

 

4)ではなぜ失敗するのか

失敗を何をもって失敗とするかという点はありますが、平たく言えば「路線の需要が追いつかない」「使いづらい」「沿線開発にマイナス」などでしょう。さらには高運賃や既存交通網との乖離もあります。

沿線開発が進む路線では利用もされる(左:六甲ライナー 六甲アイランド  右:ゆりかもめ 汐留)

この点は公共交通すべてに関わる問題ですが、綿密な計画が不可欠です。新交通システムだからいい加減ということではなく、輸送単位が小さい新交通の場合にはもとの需要量が小さいことから輸送量に少しの変動があっただけで大きな影響になるため目立つものともいえます。

桃花台のピーチライナーのように「存続問題」と揶揄されるようでは困りものです。

ピーチライナーの場合、接続する鉄道線(名鉄小牧線)との乗り継ぎに難があること、高い利便性を持つ直行高速バスとの競争に負けていること、接続する鉄道線が都心ダイレクトではなく、桃花台地区から別の都心直結の鉄道線(JR中央線)にバスで出る方が結果的に利便性が高いことなどがあります。

また、広島のアストラムもLRTであったら・・・と揶揄される代表例ですが、あの丘陵地にLRTという発想自体に無理があるだけではなく、ただでさえ混乱しつつある都心部の混乱に拍車をかけることになります。確かに使いやすいとは言えない乗り物ですが、遠回り感が否めないルート、使いにくい都心拠点というロケーションの問題は避けられません。さらに、そもそも競争相手は高速バスであって、その現実を考えればLRTでも普通鉄道でも失敗していた可能性は高いのです。

撮影:せきのりかず様

桃花台新交通 ピーチライナー 広島新都市交通 アストラム

これはシステムの問題ではなく、路線のロケーションそのものの問題であり、であるからしてシステムが悪いというストーリーは無理があります。ピーチライナーが普通鉄道で、あるいはアストラムがLRTであったとしても、路線のデメリットは強く残るわけです。ロケーションが悪いからこその低利用という公共交通としてあたりまえの事象が生じるケースへの導入に際し、比較的コストが安い新交通が選択されているという面もあります。ゆりかもめや六甲ライナーのようにロケーションが良い路線では成功しているのですから、前提とすることではないでしょうね。

この点はしっかり考える必要がありましょう。


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