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レポート 地方都市の都市交通政策 |
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4 自転車利用を促進している街 香川県高松市 |
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本四間が船舶交通に頼っていた時代、四国の表玄関として発展してきた高松市は本四架橋後にはこれまでの表玄関から四国の地方行政の中心都市に変貌し、さらに発展している都市です。 そんな高松市は自転車利用が盛んな都市です。香川県の人口当たりの自転車保有率は全国5位(1人あたり0.56台)。大都市圏以外では1位となります。 自転車利用が多い理由はいろいろありますが、対策も進んでいます。促進策と対応策、上手に連携して行っている好事例です。 |
1 自転車利用促進の”トータルコーディネート”
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高松市の自転車利用促進策はいくつもあります。 よくある自転車利用促進策や自転車対応策の傾向として、レンタサイクル、自転車道、駐輪場などの整備・導入がバラバラに行われている例がありますが、高松市はそのすべてがシステマチックに導入されています。 |
市内に張り巡らされた自転車道ネットワーク
(観光通り)
高松市内の駐輪場&レンタサイクルポート
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高松市では自転車の適正利用を進めていますが、多くに見られがちな「放置自転車対策」にとどまらず、 自転車そのものの利用促進を図りつつ、自転車と歩行者の共存を図る策を多面的に講じています。 市内に設けられた自転車道、あるいは市内中心部に複数箇所設置されたレンタサイクルポート、数多く設置された駐輪場があるほか、さらにアーケード内における自転車通行規制、徹底した放置自転車対策もあります。 このようなトータルでの自転車対策が高い自転車利用の下支えになっていると考えられます。 |
2 国内随一の利用しやすさを提供するレンタサイクル
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公共レンタサイクルは都市内の自転車対策でなかなか成功しないとされる施策の一つです。 乗り捨て放置の問題、返却率の低さ、あるいは利用の低迷などがその課題とされるところですが、高松市のレンタサイクルではそんな懸念を払拭。大成功を収めているといえます。 |
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| 広く利用されているレンタサイクル(高松駅前ポート) | 青色に塗られた自転車がレンタサイクル |
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公共レンタサイクルは各地で導入が検討されているものの、なかなか成功しません。特に、乗り捨て放置や乗り捨て可能でも乗り捨て先と借りる先の需給バランスが崩れることで利用が偏ってしまうという傾向があり失敗している例が多くあります。 しかし、高松ではレンタサイクルポートが市内の主な交通拠点を上手く押さえているためか、このようなことが表立って問題になるほどは生じてはおらず、上手くいっているといえましょう。 たとえば、JRを利用してきた人は高松駅か栗林駅のレンタサイクルポートを、ことでん線を利用してきた人は瓦町駅か高松駅(高松築港駅最寄)のレンタサイクルポートを利用できます。自動車の人は駐車場が併設されている高松駅か南駐車場のレンタサイクルポートを、バスの人は鍛冶屋町や高松駅のポートが利用できます。 このように人々の導線上のいわば「ゲート」になりうる場所にポートを設けることで利用がしやすくなっています。さらに導線上に複数のポートがあることで、いわゆる「片道利用」もターゲットに出来ます。さらに、商業拠点である瓦町(天満屋・商店街)、鍛冶屋町(商店街・中心部)、高松(サンポート)、さらにオフィス街をも抑えるなど絶妙なレンタサイクルポートの配置は「導線にしたがって交通施設を設ける」という「王道」を実践しています。 これにより乗り捨て導線とポート配置が一致し、結果として放置や需給のアンバランスが生じにくく、公共レンタサイクルが成立するといえます。 |
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| 瓦町レンタサイクルポート | 南駐車場レンタサイクルポート |
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| 栗林駅レンタサイクルポート | 高松駅前レンタサイクルポート |
| レンタサイクルの利用も容易です。 料金は1回100円。定期利用は2000円。価格的には都市部としては安価です。時間制限があって1日限りのレンタルとなります。 また、レンタサイクルはだれでも利用することが出来ます。レンタサイクルポートの事務室にある申込用紙に記入すれば無料で「利用証」が発行されます。この利用証さえあればどこのレンタサイクルポートでも借りることが出来ます。 この利用証にはバーコードが記され、このバーコードと自転車の鍵についているバーコードの照会で貸し出し手続き、返却手続きが実施されており、これによりポート外への乗り捨ての防止、私物化防止が図られています。 |
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レンタサイクルの利用証(一部加工しています) |
鍵に取り付けられたバーコード |
| レンタサイクルの問題の一つに「コスト」があります。自転車の準備、自転車の貸し出し・返却のための手続き機械、人件費などがその問題です。
高松市はこのコストも上手く低減しています。自転車は放置自転車の再利用です。しかし、きれいに整備されお洒落な色使いにしていることもあって、旧さは感じません。 レンタサイクルポートは駐輪場併設(高松駅、瓦町、栗林駅)、あるいは駐車場(南駐車場)、公共施設(鍛冶屋町)に併設されており、新たな用地などを確保しないで整備がされています。 瓦町や高松駅では貸出時の料金支払いに際しても駐輪場のシステムを活用しており、レンタサイクル用の特別な装置などを設けてはいません。貸し出しのチェック用にパソコンはありますが、その程度です。 このような工夫は、コストを抑えさらに利用しやすくしている例であり、多くの都市で参考になりましょう。 |
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| 地下駐輪場と一体になっている瓦町ポート | レンタサイクル・駐輪料金の徴収機 |
| 3 自転車道の整備と自転車の整序化エリア |
| 高松市のもう一つの自転車利用促進方策は「自転車道の整備」です。
高松市内を南北に走る中央通り(国道11号)、東西に走る観光通りには自転車道が整備されています。中でも観光通りは自転車利用を促進するため、もともと6車線の道路を4車線に変更し、その車道を減らしたスペースを使って自転車道とバス停、荷さばき停車場を整備しています。また、6車線のままの区間でも歩道を拡幅し、明確に分離された自転車道を整備しています。 これにより、歩行者と自転車の混在が緩和され、自転車・歩行者双方の安全が確保されています。 |
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| 自転車専用空間(左 観光通 右 中央通) | |
| また、単に利用促進を図るだけではなく、歩行者空間の確保も行われています。
高松の中心部に伸びるアーケードでは自転車の走行が時間帯や曜日により禁止されています。ただ、これは大きな問題を抱えるもので、南北方向に利用しやすい自転車道が無いこと(中央通りは主要道路の交差が地下道であるため走りにくい)に起因しているとされていますが、沿道アクセスも多いようですし、一概に禁止するのがよいのかという議論はあるようです。中央通りの場合、主要道路との交差部の地下道にはエレベーターやスロープが整備され、決して対策をしていないわけではありません。しかも歩行者との分離は交通量からして避けられない上に、高松駅・高松港へのアクセス道路という重要な幹線でもあり、対策は非常に難しいと言えます。 平成13年にアーケードにおいて自転車と歩行者の分離についての社会実験が行われましたが、その後の恒常的実施には至っていないなど、対策の難しさを感じます。 それでも、他の地方都市の中心市街地に比べて歩行者数も多く、今の段階で問題はあるものの、上手くいっているとも言えます。 |
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| アーケードの自転車乗り入れ禁止の看板 | マナーの啓蒙を促す案内板 |
| 4 駐輪場対策 |
| 自転車の対応策で最も困難な課題が「放置自転車」に代表される「駐輪場」の問題です。
高松市内はこのように自転車利用が多いため、他の都市同様放置自転車が問題になっています。 しかし、この放置自転車の対応策でも先進的な取り組みが見られます。 一般的に駐輪場は通勤・通学対応の意味合いが強く、定期利用や終日利用を前提にしているもの、あるいは大規模店舗に責任を負わせる例が少なくありません。しかし、現実には中小商店での買い物客などの放置自転車も数多く、駅や大規模店舗だけではなく商店街自らが動く必要があります。 高松の商店街では商店街が空き店舗スペースなどを利用して駐輪場を整備しており、広く利用されているとともに「短時間の放置自転車」の抑制がされています。 また、オフィスビルなどにも駐輪場が設けられるなど、自転車が広く利用されているが故に様々な方策がとられています。 |
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| 商店街の駐輪場(トキワ街) | オフィスビルに併設された駐輪場 |
| 5 高松の成功の鍵は何か |
| 高松の成功の鍵は何でしょうか。
無論、積極的に自転車対策に取り組んできたこともありますし、もともと地形的に利用しやすいということはあります。 しかし、それだけではありません。 高松市の政策、あるいは中心市街地の商店街や企業、運輸業界の取り組みをもう少し広く見てみると、自転車対応の様々な政策だけではなく、都市交通政策全般をきっちりこなしているのがわかります。これは各事業者独自の取り組みの部分もあれば、連携している部分もありますが、上手くかみ合っているからこそ次々と施策が生まれいるとも言えます。 たとえば、市内の郊外ショッピングセンターと市内中心部を結ぶシャトルバスの運転、買い物客でバスや電車を利用する方への乗車券割引サービス、市内のバイパス道路の整備、駐車場の整備、電車・バスの増発など、様々な施策を行って改善を図ろうとしているのがわかります。 自転車道整備のための車道削減にしてもバイパスがあるから迂回路を確保できることで車道削減が可能になったのであり、鉄道やバスのサービスを向上したことでイグレス交通としての自転車利用が見込まれるようになったなど、単に自転車対策だけでは無い複合的な効果が現れているものと言えます。 公共交通優遇、自転車優遇といった個別のモードを優遇するのではなくトータルとして都市交通を使いやすくしている。この方向性こそ高松市の成功の鍵なのかもしれません。 |
取材日 2002年11月、2004年9月