レポート1 地方都市における都市交通政策の実例

オーストラリア  ケアンズ

 

日本人観光客にもおなじみのオーストラリア・ケアンズ。グレートバリアリーフや熱帯雨林へのアクセスポイント、ゲートウェイとして多くの観光客が世界中から来訪する一大リゾート都市です。

人口は13万人。観光とサトウキビなどの農業が主な産業という地方都市です。

オーストラリアの多くの都市ではトラフィックセルに近い誘導による交通処理が行われていますが、ケアンズもその例外ではありません。ケアンズを多く訪ねる世界中からの旅行者向けのレストランやインフォメーション、ツアー会社などが立ち並び、人工ビーチ「スイミングラグーン」に面する「エスプラネード通り」(Esplanade St.)では大型車や通過交通の進入を抑制するため一方通行化やハンプ、右左折制約などによる抑制策が実施されています。

ケアンズ市中心部を東西に走るShields St.(シールズ通り)と、南北に走るLake St.(レーク通り)の交差点「シティプレイス」を囲む中心部4ブロックが「ぺデストリアンプレシンクト」=歩行者専用街区となっています。この街区内、完全に自動車を排除しているわけではなく、Shields St.、Lake St.は街区内部まで車両の進入が可能で、このエリアではタクシーや一般車の乗降スペースや短時間駐車スペースとして活用されています。そしてそのうちの南側の一角がバスターミナルとなっており、そのバスターミナル区域がトランジットモールとなっています。

交差点部をモールとし、その一角をトランジットモールとして公共交通のターミナルとして活用する。その一方で交差点の周囲に一般車の流入を許容して乗降アクセス性を担保する。トランジットモール及びモールの課題を上手く克服しつつ、歩行者空間をしっかり確保している好例といえます。

また、歩道と民有地の一体活用による賑わいの創出、駐車スペースや乗降スペース、荷捌きスペースの確保などわが国でも中心市街地活性化策において参考にできそうな策が見られます。特に、自動車をあえて店舗近くまで入れさせながらも他のレストランやショップなどとの回遊性を演出できる工夫をすることで賑わいを持たせている点は特筆できましょう。

賑わいを創出するのはトランジットモールや交通機関、コミュニティ道路などではなく、それらを如何に活用して市街地を歩いてもらえるか。そこに鍵があるといえましょう。

エスプラネード通り

ハンプなどで通行抑制がされている

通行規制を示す標識。

時間帯による軸重制限というゆるい規制

わが国でも参考になりそうな簡易的な交通島

民有地と道路の一体利用によるオープンカフェ

夜のエスプラネード通り

夜のエスプラネード通りの賑わい

 

完全分離の自転車道路は散歩道としても使われる

車道から見たエスプラネード通り沿道

 

トランジットモールとモール(ペデストリアンプレシンクト)(表紙写真集と重複)
トランジットモールの入口 トランジットモールにあるバス乗り場 トランジットモール全景
センターモール モールに隣接する一般車乗降場・荷捌きゾーン モールに設けられた駐輪場
公共交通

市内を運行する路線バス

行き先や系統は色と番号で識別

郊外路線バスは旅行者の荷物を積載する

トレーラーが連結されている

道路構造

車道に設けられた荷捌き駐車場

路上駐車場。3時間まで駐車可能

(有料。約120円/1h)

ツアーバスなどに配慮した乗降ゾーン

 

オープンカフェなどでは民有地に歩道高さをあわせている。

一見、バリアのようで実はバリアフリーに配慮された沿道アクセス